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ホールドリラックス(Hold-Relax)
ホールドリラックスの原理や効果は等尺性収縮後弛緩テクニックとほぼ同様ですが、 下記のような特徴があります。
①筋の反射的短縮だけでなく構造的短縮の改善も目的としている
②痛みに留意しながら徐々に抵抗を増やしていき、『痛みが出現しない範囲での』最大収縮を行わせる
③可能な限りPNFパターンのグルーブ(軌跡)内で試行したり、回旋要素を強調したりするほうが効果的という考えを持っている。
※ホールドの時間・インターバルの時間・セット数に関する考えはPNFの学派によって異なっています。
①に関しては、
・PNFパターンに含まれる筋群を最も引き伸ばした域で最大収縮を行わせると筋のアクチン―ミオシン複合体に構造的な変化が生じる
・筋収縮により生じる熱産生がコラーゲンの粘性を低下させると同時に筋腱移行部には伸長力が加わるため構造的短縮にも有効
と書かれた文献もあります。
また、構造的短縮に対する徒手的持続伸張との比較では、膝関節可動域を長期的にも改善させたという文献もあります。
②に関しての注意点として、『痛みが出現しない範囲での最大収縮』は構造的な短縮に対しては重要ですが、あくまでクライアントの反応や目的に合わせて強度を調整していくという考えが大切です。例えば反射性短縮の場合はIb抑制が生じる程度の刺激で良いため『痛みが出現しない範囲での最大収縮』は必要ありません。そればかりか、数時間後に痛みを誘発させてしまうリスクもあるため注意が必要です。
③に関する単純な例としては、
ハムストリングスの構造的な短縮に対して、伸展-外転-内旋パターンの軌跡のなかで内側ハムストリングスを伸長させて、伸展-内転PNFパターンの軌跡の中で外側ハムストリングスを伸長させて、ハムストリングスに『痛みのない範囲での』最大収縮を行わせるといった感じです 。
ホールドリラックス(Hold-Relax)とコントラクトリラックス(Contract-Relax)の違い
同じようなテクニックとしてコントラクトリラックスがりますが、静止(等尺)性収縮のみではなく、求心性収縮も用いる(許す)という点がホールドリラックスと異なる点です。
適用としては、どちらのテクニックも筋原性の可動域制限に用いる点は共通していますが、疼痛が絡んでくる場合には一般的にホールドリラックスを用います。
その理由は等尺性収縮を用いることで負荷量をこちらで調整できる(適刺激を加えられる)ので安全なためです。そのため、コントラクトリラックスの声かけが「動かして」「押し返して」といった求心性収縮も許すような言葉なのに対して、ホールドリラックスは「止めておいて」といった静止性収縮を促す言葉になります。
「止めておいて」という声かけによって、こちらが5gの抵抗を加えればクライアントも5gの力で動きを止めるように抵抗してくれますし、こちらが5kgの力を加えれば同様の力で抵抗をしてくれるという事になります。
注意点としては、クライアントによっては等尺性収縮が理解できない場合もあり(例えば高齢者)、その様なケースでは痛みに留意しながら安定したコントラクトリラックス(などの等張性収縮テクニック)を用いても良い訳で、定義を杓子定規に考えずクライアントに合わせてアプローチを考えていけば良いとされています。
ではホールドリラックスに対してコントラクトリラックスにはどういうメリットがあるかというと、静止性収縮だけでなく求心性収縮も許すような声かけ(つまりコントラクトリラックス)のほうが最大収縮を引き出しやすいということがあるようです。
そのため、痛みの問題が無いのであれば筋の構造的短縮に対してはコントラクトリラックスを第一選択として用いることが多いようです。
ただし、結局のところクライアントに好反応が出るのであれば、どちらを用いても良いといった程度の違いだと思います。
ホールドリラックスとコントラクトリラックスについて、以下のブログでも言及しているため、興味のある方は是非こちらにも立ち寄ってみて下さい。
(他にもPNF関連の記事もアップしています)
⇒『PNFのホールドリラックスとコントラクトリラックス(+違い)を解説』
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