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名前:カースケ
勤務先: 個人病院
資格:理学療法士

サイト運営開始日:H23年7月


PNFで用いる基本的な神経生理学的原理

  1. 後発射

    刺激を止めた後に引き続いて生じる刺激の効果のことで、『刺激の感覚や強さが漸増していくなら、後発射もまた増加していく』と言われています。

    具体な臨床例としては、
    ①片麻痺患者の座位保持練習に関して、麻痺側殿部(坐骨)へ持続的圧縮を加えた後に、圧縮を解除しても麻痺側への荷重が続く

    ②背臥位⇒左on elbow位までの起き上がり練習において、適切なPNF右上肢伸展・内転・内旋パターンの最終肢位での等尺性あるいは等張性収縮(体幹への放散もきちんと狙う)により、練習の後に起き上がりが軽く感じる

    ③持続的な手関節背屈運動(必要であれば抵抗)を行った後に、肩関節外転運動が軽くなる

    などです。上記の例のように目的とする反応が仮に起こるようであれば、その反応を更に臨床で活用していくことができます(ただし、上記の例は後発射だけによる反応では無い場合もあります)。




  2. 空間的加重
    運動の際、同時に様々な刺激を加えると、それらの刺激が互いに加重し合って興奮が増強される現象のことを言います。

    ここでいう刺激とは、PNFでは促通要素である外受容性刺激・固有受容性刺激のことを指しており、これらの幾つかを同時に加重していくことを意味します。

    具体的な臨床例としては、上肢に対する抵抗運動を行う際に、抵抗と同時に牽引や圧縮といった刺激も加重しながら、それを眼で追ってもらうという視覚刺激も加重します。更に「押して」「目で見て」といった聴覚刺激を加重されることで、これらの興奮が増強されることになります。

    この様に同時に様々な刺激を加重することで脱分極が起きやすくなった結果、筋収縮時の運動単位が増えるという意味で、通常よりも強い筋収縮力を引き出すことができます。

    講習会の実技練習とは異なり、実際の臨床になると特に聴覚刺激や視覚刺激なんかは忘れがちなことがあるかもしれませんが、こういった空間的加重の観点からも非常に重要な要素となります。



  3. 時間的加重
    連続した閾下刺激を加えていくと、時間差の加重により興奮が増強される現象のことを言います。
    具体的には、ある抵抗運動を行う際に、開始肢位から最終肢位の間に様々な刺激を時間差で加えていきます(PNF法ではPNFパターンの中で用いるのが一般的)。

    この様に時間差で刺激を入れることにより、空間的加重と同様に脱分極が起こりやすくなった結果、筋収縮時の運動単位が増えるという意味で、通常よりも強い筋収縮力を引き出すことができます。

    具体的な臨床例としては、「押して!」という聴覚刺激を抵抗運動の開始にのみ用いるのではなく、運動の最中にも「押して」「押して」「押して」と時間差で聴覚刺激を加重していくほうが効率的な興奮が起こることになります。



  4. 発散
    神経インパルスや筋活動が拡がっていくことです。


  5. 相反神経支配
    主動筋を収縮させた場合に、主動筋を支配している神経線維は促通インパルスを送る一方で、拮抗筋には抑制インパルスを送ります。これにより『主動筋が収縮すればするほどに、拮抗筋が弛緩する』というという現象が起こり、この法則を相反神経支配と呼びます。

    関連記事⇒『ブログ:伸張反射/Ib抑制/Ia抑制(相反抑制)を極めよ!!



  6. 継時誘導

    PNFでは『拮抗筋が刺激(収縮)した直後には、主動筋の興奮が増大すること』を継時誘導と呼びます。
    そして、この継時誘導が動筋・拮抗筋による往復運動(ダイナミックリバーサル・スタビライジングリバーサル・リズミックスタビリゼーション)の理論的根拠とされています。
    これにより、運動を開始すると共同筋は促通され、運動が終了すると拮抗筋が促通(継時誘導)され、その間、相反神経支配が作用し、交互運動が容易になるとされています。

    例えば端座位で体幹屈筋群が弱化しており一定の抵抗に抗することが困難な場合、何度か拮抗筋である体幹伸展筋に対して抵抗運動を行ってみると、その直後の体幹屈曲力が増大するといった現象が起こることがあります。

    また、ドイツ徒手医学のPIRに関して、PIRを実施した直後に必ず拮抗筋の促通させるように指導を受けますが、この際も継時誘導が理解できていると、その重要性が分かってきます。

    イメージしやすいPIRの例として、ハムストリングスに対してSLR最終域でPIRを試行して改善がみられたとします。その場合は、「改善した」で終わるのではなく、得られた可動域内でSLRを自動的に行ってもらうことで拮抗筋である大腿直筋なども収縮させておきます。そして、この拮抗筋の促通によって、PIRで得られた可動域が維持されやすくなると言われています。

    得られた可動域内での拮抗筋の収縮を促通させることは相反神経支配の観点からもからも重要となるわけですが、PIR直後に実施するという事は継時誘導(大腿後面筋の収縮直後に大腿前面筋を収縮させた場合、継時誘導により大腿前面筋が促通されているため得られた可動域内という学習されていない範囲での運動も行いやすい)の観点からも効率的であると言えます。


 

 

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