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スタティックストレッチング

 

ストレッチングについて

ストレッチングにはいくつかの方法がありますが、ここでは理学療法士として使用頻度の高いスタティックストレッチングを記載します。

 

スタティックストレッチングは『反動をつけずにゆっくりと筋を伸張し、その肢位を数十秒間保持するストレッチング』の事を指し、効果については下記の2つに焦点を当てて解説していこうと思います。

  • 関節可動域の改善(筋の反射的短縮・構造的短縮の改善)
  • 疼痛の緩和

スタティックストレッチングによる関節可動域の改善効果

関節可動域制限の改善を考えた時に、最終域でのエンドフィールが筋性である場合は、ストレッチングが選択肢に入ります。

 

臨床における筋短縮による可動域制限は、筋の筋緊張亢進(反射的短縮も含む)と、器質的変化による構造的短縮(筋性拘縮と同意)とが複合した病態を呈しています。

 

また、急性であるほど筋緊張による影響の割合が多く、慢性になるにしたがって構造的短縮の割合が増えてきます。

 

そして、構造的筋短縮を改善させるためには、筋収縮によって生じている可動域制限を取り除けた状態からでなければアプローチできていないということになります(あるいは筋緊張を取り除きつつ構造的短縮に介入していくことになります)。

 

この様に反射的・構造的短縮が混在した病態に対してスタティックストレッチングは、筋緊張に対してIb抑制という神経生理学的効果により改善させつつ、機械的伸張刺激により筋・筋膜を引き伸ばすことで構造的短縮に対しても直接的にアプローチが可能な方法と言えます。

 

 

臨床において、数回のストレッチングにより即時的な可動域改善が認められるのは反射的短縮の改善(筋緊張の低下)が主要因だと思われます。

 

一方で、構造的短縮(つまり筋拘縮)を即自的に改善させることは困難で、改善される条件として高頻度(1日数セットを数回)・長期間の介入が必要とする研究が多くを占めています。

 

そして、構造的短縮改善まで考えた場合、条件を満たすためにセラピストの介入のみならず、クライアント自身によるセルフエクササイズを積極的に取り入れていくことが重要と思われます(高齢者の一部や自発的活動が困難な方にはご家族の協力も得る必要があります)。

 

 

構造的短縮による可動域制限には様々な要素が絡んでいますが、筋膜による制限が一番の要因と言われており、これをいかに改善させるかが重要となってきます。

構造的短縮についての詳細は⇒用語解説参照

 

 

スタティックストレッチングによる疼痛緩和効果

直接的効果:

筋が持続的に伸張されることによるIb抑制を主に狙っています。

つまり等尺性収縮後弛緩テクニックと同様な効果に、筋緊張を緩和することによる除痛効果を狙っています。


※詳しくはこちらも参照

ブログ:伸張反射/Ib抑制/Ia抑制(相反抑制)を極めよ!!

 

 

間接的効果

アプローチした部位の伸張性改善により、他部位・他組織への過剰なメカニカルストレスが改善され除痛につながります。

 

スタティックストレッチングのポイント

  1. 筋の伸張スピード
  2. 筋の強度について
  3. 筋の伸長時間について
  4. 筋の頻度について
  5. 息を止めないことで交感神経の興奮を予防する

スタティックストレッチングと等尺性収縮後弛緩テクニックの使い分け

  • スタティックストレッチングの方が負荷が強く、痛みを誘発させやすい。
    そのため、急性痛が生じているものはリスク管理の意味も含めて等尺性収縮後弛緩テクニックが有効。

  • スタティックストレッチングはセルフエクササイズとして長期的な自己管理にも活用しやすい。

  • 疼痛による弊害の心配が無く、筋短縮の原因が器質的変化によるものであればストレッチングが適用。

 

スタティックストレッチングと運動パフォーマンスについて

スタティックストレッチングは即時的に筋緊張を抑制させる効果があるものの、スポーツなどの運動の直前に実施してしまうことで運動パフォーマンスが低下してしまうというのが最近の主流な考え方です。

 

一方で、エビデンスとして出されているものは、スタティックストレッチング施行後ただちに測定したものがほとんどであるものの、そのようなストレッチングをした後にウォームアップをせずに競技に移るのは稀であり、実際の競技におけるパフォーマンスに影響を与えるまでには至らないのではないかという意見もあります。

 

そして、競技の前にスタティックストレッチング(他のストレッチング方法でも良いですが)によって筋が十分に収縮できるように調整した後にウォームアップをした状態であれば、パフォーマンスが向上する可能性が高いのではないかという見解もあります。

 

また、筋緊張の抑制によるパフォーマンス低下を危惧するのであれば、バリスティックストレッチングを筋の伸張性改善に用いれば良いという考え方もあります。

 

バリスティックストレッチングとは、ラジオ体操に代表されるように適度にリズミカルな弾みをつけて動的に筋を 伸張するストレッチングで、身体各部を動かすスピードと重量を活用す る方法です。これにより適度な伸張反射を誘発させ、脊髄α運動ニューロンの興奮性 を増大させるので、ウオーミングアップとしても適しているとされています。

 

 

 

以下のブログ記事でもストレッチングについて解説しているので、こちらも参照してみて下さい。

 

⇒『ストレッチングを動画も交えて分かり易く解説!

 

 

 

HOME評価・治療軟部組織テクニック<スタティックストレッチング

 

 

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