自己紹介・趣旨・用語解説

痛みについて

管理者の理学療法士ブログ

理解が深まる?オススメ記事

サイトプロフィール

名刺

名前:カースケ
勤務先: 個人病院
資格:理学療法士

サイト運営開始日:H23年7月


認知療法の活用例

慢性痛に対する認知療法の概念で私が重要だと思っている以下の2つについて記載していきます。

  • 教育(痛みに対する正しい知識の提供)

  • 記憶のバイアスの修正

 

教育(痛みに対する正しい知識の提供)

教育は疼痛管理の基盤となります。


重要なことは、クライアントが適切な情報を利用でき、情報を自分の状況との関連で理解し、疼痛に関しての誤った信念に対処することができるようになることです。


また、教育は疼痛による制約を減らし、クライアントに対する自己管理の支援としても有効です。


思考と感情は外部環境の影響を受けやすい為、クライアントのみならず、家族、友人、職場の同僚や介護者の教育も重要とされています。

 

教育によって伝えるべき知識の要点としては以下のようなものがあります

  • 疼痛のメカニズムとその影響について
  • 急性痛と慢性痛の違いについて
  • ストレスと疼痛について
  • 慢性疼痛の心理的影響と、その対処について

 

HOME認知行動療法> 認知療法の活用例

 

読書療法

認知のバイアスを修正する際は、痛みに対する基礎知識を分かり易く伝えることは大切で、冊子や動画を渡して自己学習してもらうのも効果的です。


特に本を使用したセルフ・ヘルプ式の治療(読書療法)はオーストラリアを中心に広まっており、書店でも痛みに対する幾つもの一般書籍が売られています。


書店で買った本を読むだけでも治療の知識が得られ、認知・行動・感情の整理もできます。


一般書籍を用いて行う読書療法で大切なポイントは、平易な表現を用いて分かり易く書かれているという点です。

慢性痛患者さんの中には抑うつ傾向を有している人もいるため、読書をする元気が出なかったり、深い思考が苦痛になってしまったりなケースもあります。


そして、その様な場合は、難解な文章では本を読みこなすことが出来ず、読書療法に挫折してしまう可能性があります。


頭に入ってきやすいという点では動画も良いかもしれません。

 

関連リンク

⇒『ブログ:慢性腰痛に対する読書療法+おススメ動画

 

 

痛みに対する基礎知識はとしては下記の2点は大切だと感じています。

  • 末梢神経のみならず、中枢神経の関与によっても痛みが修飾されること
    一例としては上記リンクの「慢性痛に対する読書療法+おすすめ動画」などを参照

  • 不動などの生活不活発病が痛みを悪化させる
    生活不活発病はこちらを参照⇒『ブログ:廃用症候群から生活不活発病へ

 

 

HOME認知行動療法> 認知療法の活用例

 

記憶バイアスの修正

記憶のバイアスを修正するためには、自身の生活を日記などで客観的に記載していくことは重要となってきます。

ここでは記載例として「痛み日記」と「痛み日記以外の記入方法」について解説していきます。

 

 

~痛み日記の記載方法~

 

痛みの程度、活動量や運動、服薬・医療処置の内容、特記すべきイベントなどを記録します。

 

活動量については、加速度計、歩数計や歩数計付き携帯電話、時計などによって、1日の歩行量や活動時間・距離などを記録することで、患者さん自身が客観的に活動量を把握することが有効です。


また、天気や気温などの身体内外の環境変化で痛みに関係すると思いこんでいるものがある場合は、それらの環境因子についても記録します。

 

ポイントは、痛みも部位や程度、痛みに影響するイベントなどのネガティブな記述に終止することを避け、「痛みを忘れていた」「楽しかった」「こんなことにチャレンジした」など、これまで痛みにマスキングされていて認識できていなかったポジティブなイベントも記録していくことです。

 

痛み日記に関するポイントは、こちらの書籍も参照してみて下さい

⇒『書籍:しつこい痛みは「日記」で治る

 

日記効果の一例はこちらも参照

⇒『ブログ:日記による記憶バイアス・注意バイアスの修正

 

 

 

~痛み日記以外の記入方法~

 

痛み日記でなくとも記憶のバイアスを修正し、痛みの恐怖-回避モデルからの脱却を促す方法はいくつも存在します。


例えばウォーキングと痛みに関連した認知バイアスを修正したい場合は、ウォーキングの前後にVASを記録してもらうという方法です。


これは患者さんが「ウォーキングをすると痛みがひどくなる」といった誤ったバイアスが生じている際に、効果があります。


もし仮に、「適度なウォーキングをすることによって痛みが減少する」ということが強化出来れば、歩くのが怖いと思っていた人でも、「痛い時にこそ歩こう」というコーピングの方法を獲得することが出きます。

 

また、このVASを経時的に記録することによって、痛みが増強していた時には何をしたのか、減少した時には何をしたのかというように、行動と痛みの関係を客観視することができます。

 

これを積み重ねることにより患者さん自身のコーピングスキルが高まることになります。

 

この様な『VASを活用した痛み日記』に関しては、以下の記事で深堀しているので、ぜひ観覧してみてください。

⇒『ブログ:ペインスケール(痛み評価テスト)の活用法を解説!

 

 

 

HOME認知行動療法> 認知療法の活用例

 

inserted by FC2 system